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「双眼鏡を覗いてみたら」~高尾・日和山浄水場~(シリーズ⑤)
投稿:2013.12.11
展望室の北側からは、市街地の高台の芝生が生える中にいくつかの池が並び、ちょっとしたのどかな田園風景の広がりが見える。え!これ何だろう。これこそ明治39年、全国で9番目に給水開始となった高尾浄水場と昭和4年完成した日和山浄水場である。それがタワーから見ればひとつの浄水場に見えるではないか。実際は150m以上も離れ、その高低差も20m近くもあるのに。視線の角度により見え方もいろいろになることを学ばされる。
この高尾・日和山の浄水場では、設置当初から北に12km離れた向日貯水池から送られてくる原水をろ過処理している。現在は1日に7000㎥の処理で、下関市全体の浄化処理量の7%に過ぎない。しかし、ここは小屋川水系の水を長府浄水場で処理した水と合わせて、今でも旧市街地を中心として多くの下関市民に水道水を送り続けている重要な場所である。
高尾浄水場にある歴史を感じさせる煉瓦造りのろ過池付設調節井などは、向日貯水池取水塔などとともに取水から給水までの一連の水道施設として国の登録有形文化財となっている。
タワーから見ると、海と海峡にぐるっと囲まれた街中の真中に静かに淡水が湛えられている池、その水面は時に薄い乳白色ともなり神秘的。100年以上も市民の命の源を供給し続けているところ、癒しの風景の中に何か不思議な力も感じる。